運命づけられるということ

盗まれた手紙の話において王妃から盗まれる手紙が持つ物質性と似た、ある種の物質性を担う。登場人物から別の登場人物へと次々に影響を与えるのは、手紙=文字の内容ではなく、手紙が文字にほかならない以上それに内容はない、その物質のようなあるいは対象のような性質である。この物語のなかの手紙=文字は、登場人物を次々と特定のポジションに固定する。それは現実的な対象であり、何も意味しない。最初の現実的なもの、すなわちトラウマや固着について言われる際の現実的なものは、ある意味で、それをめぐって象徴的秩序が循環するよう運命づけられるが、それにたどりつくことは決してできないような、ひとつの重心というかたちで回帰する。それは連鎖そのものの内に不可能性を生じさせ、ある任意の言葉はランダムに現れることはできず、一定の他の言葉の後にのみ現れる、連鎖が回避し続けるしかないようなものをつくりだす。これによって、われわれは、第二段階の現実的なものへと、そしてラカンの原因概念へとアプローチすることができる。